きょうを書いとこ日記

きのうとほんの少し違うきょう。だけど遠いあの日とはだいぶ違う。何から書こうか。ええと、そうだな、とりあえず、

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

もしかしておばさん

私はその晩、代々木上原から幡ヶ谷に抜ける住宅小路を登っていた。 深夜0時過ぎの人けもない小路の細長い坂の上、ぼんやりと人影が浮かび上がった。街燈を背に受けた黒くて長い影だ。近づいてきたその影の主は、とても小柄な初老のおばさんだった。両手にはスーパーのビニール袋、それもこの深夜に大量に買い込んだらしく両の肩がぐったりと沈んでいる。歩幅は小さく、足どりも遅めで、かなり疲れている。


すれ違い際に、おばさんは「もしかして、」とささやいた。えっ?と、おばさんの顔を覗きこむ。
おばさんは、私の顔を見ていない。 「もしかして」は私に対してではないらしい。別のことなのだ。前方を見つめたおばさんの目は焦点が合っていない。そのままスローモーションのようにゆっくりと通り過ぎた。肩の落ちたその後ろ姿で、もう一度「もしかして、」と呟いた。

私は不思議と動けずにいた。立ち止まったまま、おばさんの後ろ姿を見つめた。リフレインされた「もしかして、」の後に何かある気がした。何かが続かなくてはいけない気がした。じっと耳を澄ますと、夜のしじまに消え入りそうな声で、「私の他にも誰か」と聞こえた。


その後、深夜0時に同じ長細い小路を登るたびに、
あの「もしかしておばさん」に会えるのではないか、
また歌っていたらどうしよう、と
いらぬ想像しては、内心ワクワク、ひやひやする。
そんなことがあろうものなら、
今度はこれをデュエットで返すしかないではないか。


ブログパーツ

スポンサーサイト
  1. 2007/10/18(木) 11:41:09|
  2. きょう見かけた人
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://daika.blog4.fc2.com/tb.php/150-28005805
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。