きょうを書いとこ日記

きのうとほんの少し違うきょう。だけど遠いあの日とはだいぶ違う。何から書こうか。ええと、そうだな、とりあえず、

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その女を追い抜きたい。

その女を追い抜きたい。

ある夜道の矛盾―。

深夜の駅前は、残業で疲れたサラリーマンとOLたちが、
夜食を買い込んで寡黙に家路についている。
朝の出勤時より30%ダウンの速度で歩いている。
見渡すと周囲に6人。

駅前を抜け甲州街道で信号待ちして渡り終え、住宅街の中に突入。
見渡すと6人のうち3人に減っている。

商店街を通り抜け、水道道路を渡る。
私の他にこの夜道を歩くのは前方15M先を歩くOLのみとなった。
私の家路はここから、右折、直進、左折、右折である。

前方のOLは右折した。私は遅れて右折する。
OLはだらりと肩を下げ、倦怠感あふれる歩き方をしている。
OLの歩く速度より、私の速度が上回っているため、
ふたりの間隔は5M縮まり、10Mとなった。
この後は長い一本道の直進だ。
ここで追い抜けるかもしれない。
いや、追い抜かなければならない。そう思った。


話が飛ぶが。
満員電車で揺さぶられ横に立つ女性の体が不意に密着してくる時、
慌てて努力をしなければならない。
あなたに触れようとはいないからね、と。
手が泳いで逆に怪しくなったりしないように、と。

話は戻って、深夜の一本道を若いOLが歩く。
背後から私は弱冠加速して女に近づく。
女は「ビク」っとした。
後ろから見ていてそれとわかるように。

女は一瞬背後を振り向こうとして怖くなって振り向くのをやめ、
いきなりターボをかけてカツカツカツと靴音高く早足になった。
女と私の距離は再び15Mとなった。
明らかにこの女、背後から忍び寄る不審者だと警戒した、そういう歩きだ。

私は追い抜くのをやめ、ペースダウンした。
追い抜きさえすれば、嫌疑をかけられることはない。
見ず知らずの男と女、男が前を歩けば、平和な夜道のふたり歩きになる。
だから追い抜こうとした。そんな小さな努力をしていた。
満員電車の中も、夜中の一本道もだ。

あそこで追い抜けなかったので面倒なことになった。
女は20Mと間隔をあけたところで、ほっと一息いれ、
再びだらりと肩を下げ、スローモーな歩きに戻った。戻すなよ。

女は左折する。左折するなよ。
面倒くせえ、走って抜かしたろ。小さな努力なんてクソ食らえだ。
私は左折するコーナーを速歩で回りこみ、いざターゲットを見据えようとした瞬間、
前方のターゲットが視界から消えた。

あの女、確かに左折したはずだが…。左折直後の小路地を曲がったのだな。
ああ、やっと気侭に歩けるぜ。平和な夜道のひとり歩きさ。

少しして背後から音が聞こえる。カツ…カツ。
あの足音は!?

あの女、小路地の暗がりに一時的に身を潜め、
私を先に行かせてから、再び歩き始めたのだ。
そんな行動をすること自体、考えただけでも怖い。
でも、歩きの順番を私と入れ替えた彼女の行動は、
もともと私がやろうと思ったことでもある。
そのこと自体はよしとしよう。

しかし、何故だ。
何故、彼女は足早なのだ。
カツカツカツカツ。
このままだと私は追いつかれる。

振り返って顔を見たい。けど振り返るのが怖い。
何に対する復讐なんだ、これは。

私は追われている。逃げる。
どこか矛盾している。


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  1. 2008/03/26(水) 13:04:23|
  2. きょう見かけた人

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