きょうを書いとこ日記

きのうとほんの少し違うきょう。だけど遠いあの日とはだいぶ違う。何から書こうか。ええと、そうだな、とりあえず、

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クラスメートの彼

最近、ひとりの男性が気になっている。
朝の出勤時に最寄り駅へ向かって歩いていると、
男性は駅の方からこちらへ歩いていきて私とすれ違う。
男性はいつもきまって仏頂面で歩いている。
それだけであれば、私は何も気にとめたりしないのだが、
男性は大学1年の時のクラスメートに酷似していた。

あの男性は本当に私のクラスメートなのだろうか?
世の中には瓜ふたつの人が3人はいるという。
正面顔も横顔も背丈も、そっくりである。
ほんの少し肉付きがよくなったのと、
少し皮膚に張りがなくなったのと、
表情を一向に変えようとしない仏頂面を除けば、
23年前と一緒である。

これまで数回すれ違った時、声をかける気にならなかった。
人違いではないかという気がしてならない。
正面顔も横顔も背丈も、そっくりなのに、
どこか決定的に違う気がするのだ。
男性は、いつも心ここにあらずといった感じで
一点を見つめて歩いている。

今日も前方10M先にその男性の姿を発見した。
すれ違うときに声をかけてみようかと、
こちらへ歩いてくる相手の顔を、
数メートルの距離まで引きつけて見つめる。
向こうも目を合わせてきた。

そのまま通り過ぎた。

少しでも彼の表情が和らぐとか、目の周囲に驚きの気配が滲み出れば、
私には、「あれっ、もしかして?…だよね」と声をかける準備があった。
男性は終始表情を変えず、
視界に入った私をそこに何もないかのような目で見ていた。

仮に人違いだとしても、こちらが顔を覗き見れば、
少しは表情が変わるものではないか。
男性が一切表情を変えないことで、逆に私は興味が湧いた。

男性はやはり、クラスメートの彼かもしれない。

いつかのある日、彼は何か大きなものを失くしてしまったのだ。
彼の中で何かが破綻したとき、大学時代の記憶もとんだ。
彼はその日から、表情をなくし、一点を見つめて歩いている。
そんな気がしてきた。

振り返ると、男性は昨年の冬にこの駅前に新築したばかりの、
どこか場違いな、外壁がレンガ造りの背の高いマンションの入り口に立ち、
何かで照合したのか、突然開いたドアに体を向け直すと、
そのまま姿勢を変えずにロビーの奥へと入っていった。


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  1. 2008/09/12(金) 12:55:02|
  2. きょう見かけた人

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