きょうを書いとこ日記

きのうとほんの少し違うきょう。だけど遠いあの日とはだいぶ違う。何から書こうか。ええと、そうだな、とりあえず、

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哀しいけど、いい話

深浦加奈子

9月の終わりに「深浦加奈子さんのお別れ会」があったそうだ。私は個人的なつきあいはなかったので出席できなかった。お別れ会の運営進行を担当していたプロデューサーから後日、この会の話を聞いた。いい話だった。



お別れ会の途中だった。

思い出の映像が会場の大スクリーンに映し出される。小劇場演劇ブーム80年代から駆け抜けた名女優、深浦加奈子が魅せる演技の数々、そのハイライトシーンが次から次へと映し出される。第三エロチカ時代の妖艶かつ迫力ある演技から、数々のプロデュース公演、いずれも他の女優とは一線を画したその演技のきらめきが、大画面に映し出されては消える。この会に集まった550名の芸能人たちは固唾を飲んで、この最後のワンマンショーを見入っていた。映像に映された舞台シーンは年代順に次の作品、次の作品とリレーして、とうとう2008年の「新しい橋」のシーンとなった。最期のなまめかしい演技がやがて画面から薄れてゆき、スクリーンから光が消えた。喪に服して佇む550名が見守る中、スクリーンはブラックアウトした。

少しして画面には再び光が挿した。そこには若き日の深浦加奈子が立っている。こちらをじっと見つめている。少しして微笑む。と同時に深くお辞儀をした。映像はすぐに切り替わり、別の深浦加奈子が立っている。そしてまたお辞儀する。カメラが引くと派手なドレスの深浦の隣でグロテスクな衣裳の男性もまた頭を下げている。また別の深浦加奈子。少し落ち着いた感じで横一列に並んだ中の一人としてお辞儀する。そしてまた別の…。そう、これは舞台の「カーテンコール」を集めた映像集だった。幕が降りた後に出演者は再び姿を見せてステージ最前に一列に並ぶ。タイミングをあわせて一斉にお辞儀をする。そのことで来場した観客へ感謝の意を表す。それが「カーテンコール」である。少しずつ歳をとってゆく深浦加奈子が同じように、笑顔で頭を下げる。その4本目か5本目のとき、会場からパチパチパチッと音がした。誰かが拍手をしている。550名の中で、拍手の主はたったひとり。誰なんだろう?皆はその主に視線を送る。それは勝村政信だった。静まり返った会場の中、緩み無く強く叩き続けるこの拍手の音は大きく反響した。沈んだ面持ちの参列者は、この拍手に自分も続いていいのかどうか躊躇していた。喪に服した場に拍手はふさわしくないのではないかと思えたのだ。それでも勝村は拍手した。じっとスクリーンを見ながら。拍手を受けたスクリーンの中の深浦加奈子は、7本目のお辞儀をするために、深ぶかと長い時間をかけて頭を下げてゆく。その光景にたまらず、ふたり目が続いた。その後は一気に呼応、550人全員の大拍手となった。その拍手の渦の中、深浦加奈子は繰り返される新しい出で立ちでスクリーンに登場し、襟を正して背筋を一度伸ばし、ゆっくりと頭を下げた。拍手はなりやまず、深浦加奈子は尚も新しい深浦加奈子として登場してはお辞儀を繰り返した。




話を聞いて、涙が出そうになった。
その映像DVDを、事務所のTVで見せてもらった。
小さいモニターの中で深浦加奈子はお辞儀を繰り返していた。
「ニューシネマパラダイス」のラストにも似た感覚だった。
この映像演出は山内ケンジさんです。(城山羊の会)

毅然と手を叩き続けた勝村さんは偉いですね。

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  1. 2008/10/02(木) 18:22:30|
  2. きょうの体験

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